2013.10.28
ハヤカワJコレクションの三冊目発売
さて去る10月25日早川書房より「SFマガジン」誌での半年ほどの連載をまとめた『All those moments will be lost in time』が刊行されました。きっかけとなった短編+連載+描き下ろしエピソードを一話収録して一冊にまとめています。
僕は2004年に「ハヤカワSFシリーズJコレクション」という叢書シリーズからデビュー単行本となる『凹村戦争』を刊行しましたが、上下巻の『アトモスフィア』をはさみ、それから実に10年目。Jコレクションから三冊目の単行本をリリースすることができました。
「Jコレで三冊出したいね」と約束したのは『凹村』担当だった塩澤さんでしたが、僕は『アトモスフィア』以降SFマガジンをなんとなくドロップアウト。もう描く機会ないだろうなと思っていたところへ、声をかけてくれたのが『凹村』当時は編集者ではなかった(けどカラオケ行ったり、自宅で遊んだり仲の良かった)現担当編集の木全さん。
最初の短編を描いたのは、今年夏のSF大会に備えてのものでした。あまりにも最近SFに関わらなさすぎなので、手ぶらでSF大会にお呼ばれするのは忍びないせめて何か近況でも・・・というきっかけだったわけですが、それが連載となり、いっそい一冊にまとめて、描き下ろしもつけて・・・という展開になったのでした。だから「誰に読んでもらうか」とか「この作品を誰に向かって」みたいな前提がそもそも最低限の理由しかなく、こうして単行本になったことも不思議な偶然だな、という変な気分ですね。
と、SFに関連する前置きが長くなってしまいましたが、そんな経緯はさておきこの作品は広島での二年間の生活をまとめたエッセイです。SF的ストーリーやキャラクターは登場せず、今まで描いたことがないくらいに家族のことや日々に関して率直に描いています。また舞台は広島だけでなく、東京や福島まで移り変わっていきます。
一言でまとめると「SF的想像力に助けられた日々」を綴ったものだと思います。
古くからの西島ファンならば『All about マンガっち』や『土曜日の実験室』に連なる作品かもしれませんし、『魔法なんて信じない。でも君は信じる。』のようなドキュメンタリーかもしれないし、DJまほうつかい『All those moments will be lost in time EP』に呼応する作品かもしれません。フェスティバルFUKUSHIMA!ともとても関係あるし、『すべちょ』のメイキング作品と言えるかもしれません。震災後のドキュメンタリーと言えるかもしれないし、意外と素直なほのぼの家族エッセイなのかもしれません。
新刊三冊ほぼ同時刊行のフェアも展開します。よろしくおねがいします。
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