『4444』刊行記念 古川日出男ロングインタビュー 読むたびにかたちを変える小説

44 四四四四

   
「起立もしないし、礼もしないし、着席もしない。そういう年齢じゃないしな。あの頃のおれの年配に、そうかぁ、おまえたちが達したか。
 これは先生の感慨だ。
 それにしてもな、同級会に、こんな集まるなんて。
 なあ、四年生のだぞ?
 しかも校舎をそのまんま会場にして。
 これ、異例だぞ?
 あらゆる定理には例外がある——はずはない。
 なのにな。
 先生は会えてよかった。
 いまな、放送室にいるんだ。おまえたち、校庭でも聞こえるだろ? それでなぁ、昨晩なぁ、おれは44を二乗にした。ほら四組だったから、それが再会するわけだろ? 同級会を数式かそれに類する形に変えると、44の二乗がいいって、そんな——気がしたんだ。
 その解はな。
 その解は。
 問題じゃないんだ。
 お帰り。そしてこれが、オンエアだ」

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