『4444』刊行記念 古川日出男ロングインタビュー 読むたびにかたちを変える小説

30 どうして引き算はネットワークを汚染するのか?

   
「はい、こちらは少女プログラム一号です。美味しいあんみつの作りかたを発見しました。寒天は素材第一主義でゆかなければなりません。その上で、どんなふうに賽の目に切るか? プリッとしないといけません。そうです、寒天はプリッと。料理の秘訣はまず足し算、素材や調味料をどう足すかで、それから掛け算の発想が生まれます。そして、ついに引き算の発想も! これが素材厳選主義、『不用意に足さない』スタイルです。ここから実行プログラムを出産祝いにかえます。落合と町田の二人のこと、憶えてますか? そう、同級生結婚です。子供を産みました。でも、落合は町田になったから、いまは落合ではありません。町田ナオだよね。その当時、わたしたちは将来きっと街を産むものだと思っていて……。いえ、懐古主義はやめます。それで、引き算のディテールでした。あんみつのための引き算の実際は——あ、もしもし? もしもし? どうしたの少女プログラム二号? どうして処理が停まるの? これネットワークの渋滞? もしもし?」

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