2012.03.30
ウィンドアンドウィンドウズvol.2
プー!
DJまほうつかいのウィンドアンドウィンドウズvol.2更新。
漫画家・西島大介が単行本の描き下ろしシリーズとして発表した、ファンタジー漫画です(通称〈せかまほ〉)。
第1部『世界の終わりの魔法使い』は、1冊読み切りの作品として刊行されましたが、次第に世界観が広がり、第2部『恋におちた悪魔』、第3部『影の子どもたち』と続篇が描かれました。
第3部でムギの物語は完結しましたが、サン・フェアリー・アンはまだまだあばれたがっているようです。事実、〈せかまほ〉特別篇『世界の終わりの魔法使い~小さな王子さま~』(講談社「モーニング・ツー」連載)でもあいかわらずの活躍を見せています。
今後も〈せかまほ〉ワールドはどんどん広がっていくかもしれません。
科学が滅んだ時代の魔法の村。なぜか魔法が使えない少年は、ひとりの不思議な少女と出会い……読めばゼッタイもらえる勇気! 〈せかまほ〉第1弾。
時は1000年前、人類対魔法使いの最終戦争――魔法大戦のさ中、落ちこぼれ少年と魔法使いの少女、2人の思いが歴史を変えた。第2弾、始まりの物語。
1000年ぶりに帰還したアンの故郷・惑星ノロは、魔物たちが支配する星となっていた……アンとムギの最後の冒険が始まる。3部作完結篇。
ニシジマ ダイスケ
1974年生まれ。漫画家。2004年、描き下ろし単行本『凹村戦争』(早川書房)でデビュー。
著書に『ディエンビエンフー』(小学館)、『土曜日の実験室―詩と批評とあと何か』(INFASパブリケーションズ)、『アトモスフィア』(早川書房)、『アトムちゃん』(角川書店)、『魔法なんて信じない。でも君は信じる。』(太田出版)等。
著者公式サイトは「島島」
« 2012年02月 | メイン | 2012年04月 »
プー!
DJまほうつかいのウィンドアンドウィンドウズvol.2更新。
せーの、うぃんどあんどうぃんどうずー。
西島の音楽活動名義「DJまほうつかい」にピアノ録音のオファーがきました。ペン入れやネーム作業の合間に、Soundcloudを使ってアレンジや構成をやりとりしています。
http://soundcloud.com/djmahoutsukai/dj-windandwindows-vol-1
ラジオ形式でメイキングを随時配信していきます。まほうつかいスタジオからお届けです。プー!
プー!
現在、二本の連載(モーニングツー、JUMP改)と一本の休載(ディエンビエンフー)を抱えている西島です。今日は珍しく短編のペン入れを終えたところ。西島のデビュー作『凹村戦争』が属する叢書「ハヤカワSF Jコレクション」10周年を祝うSFマガジンのJコレ特集号に掲載される短編です。久々のSFマガジンからの依頼・・・・古巣、まじ緊張。詳細は追って。
話を戻すと、『I Care Because You Do』へのトリビュート企画や、DJまほうつかい『Metaltronica』のライナーノートなどをリリースさせていただいた音楽以外のものを配信するネットレーベル「赤身レコーズ」さんがタイトルvol.100をもってリリース終了となったそうです。
http://www.jarchive.org/akami/
不思議とアマゾンレビューが書き込まれることもなく、書評も特に見当たらない『I Care Because You Do』・・・。場としてもっとも熱いリアクションを示してくれたのが、赤身レコーズさんだった気がします。
赤身さん、ありがとう! お会いする機会あったら、今度寿司でもおごるよ!
プー!あるいはシンチャオ! 西島です。
2011年に9集が出ましたが『ディエンビエンフー』はそれ以前から雑誌掲載から描き下ろしに移行しています。これは何かのトラブルではなく、相談したうえで決定したことですし、僕はもともと描き下しデビューによる『凹村戦争』でマンガ家としての活動をスタートしているから、「連載なし」というのは自分のスタイルにぴったりと考えていました。現在もネームや物語完結までの全体の構成をまとめる作業は進めています。
と言いいながら、現在モーニングツーで『すべてがちょっとずつ優しい世界』を、JUMP改で『Young, Alive, in Love』をげんきいっぱい連載中。『ディエンビエンフー』ほったからしでは? と思われてもしかたないですね・・・すみません。
現在連載中の作品は、あまり声高に言わないようにしていますが、どちらも明確に原発事故由来のテーマです。そこまで言わないまでも、311以降の僕の考え方が反映されています。ツイッターでたまにつぶやく謎のキーワード「除染と除霊どちらも視えない」「UMAも裏社会、視えそうで視えない」「ゴーストバスターズは背中に無認可の小型原子炉を背負いゴーストを捕まえる・・・」などは、この原発事故以降の世界を良くするための思考です。
311以降においての創作、想像力の役目も考えます。例えば僕は「ラジウムおばさん」「汚染水を飲む」という言葉にどうしてもひっかかってしまいます。言葉として面白すぎるというか、現状原子炉がどうなっているのか放射能は安全なのか政府への不信はどうすれば・・・という議論を超えて、強い印象を残す言葉です。つまり想像力の言葉として秀逸すぎるのです。ウケるーっていう。で、作り手はまず「ラジウムおばさん」みたいな強い言葉と戦っていかなくてはならいなと思うわけです。それよりもクレイジーな斜め上を飛んでいく発送をしないと負けてしまう、とすら考えています。
(ちょっと意味が良く分からないかもしれません、思考が先走っています。ぜひ二つの連載を読んでください)
『ディエンビエンフー』は1960年のベトナム戦争を描いた物語です。原発事故とその後の報道の流れを受けて、僕は「あ、なんかこれベトナム戦争みたいだな」と感じました。東電定例発表(問題はないと評価している)はウエストモーランド将軍の定期報告会(アメリカは順調に勝利している)みたいだなと思ったし、慣れない単位が飛び交う原子力発電には「人間コンピューター」と呼ばれたロバート・マクナマラ的なマッド・サイエンスを感じる。右も左もわからず一旗揚げるべくベトナムの戦場に駆り出された写真家やジャーナリストは、IWJやニコニコ動画のクルー、ニュースでは流れない動画をUPする個人のようだなって思いました。ネットの発達によって、ベトナム戦争のときのような(もちろん僕はそれを目の当たりにはしていませんが)ジャーナリズムが少しずつ戻ってきているような気もします。
要は僕は今のこの状況を「なんだかちょっと戦争のようだ」と感じています。久々訪れた渋谷が暗かったときも同じように感じました。『ディエンビエンフー』を描くことで僕にとって最も身近な戦争は第二次ではなくベトナム戦争。なんだかベトナム戦争みたいになってきたぞ、そんな風に考えています。しかし僕は現在を生きる人間でもあるので、この現在こそを今すぐにでも描きたい衝動にもかられています。無謀な戦場カメラマンのように。その結果が、『すべてがちょっとずつ優しい世界』と『Young, Alive, in Love』、ふたつの新連載です。
分析すると、僕はベトナム戦争に遭遇したカメラマンのような気分で、311に向かい合っているのだろうなという気がしています。というか、『ディエンビエンフー』を描くことで311以降の世界に対する心の準備はできていたのかもしれないし、いやそもそも『ディエンビエンフー』という作品にこそ原子力は内包されていたわけで(ヒカル・ミナミは広島に原爆が落ちた日に生まれたリトル・ボーイです)、えーとえーと。そんなふうに僕の思考はこのごろ1960年代と2011、311以降を行ったり来たりしています。
とにかく言いたいことは『ディエンビエンフー』をほったらかして311モードになっているわけではないということです。『ディエンビエンフー』と同じような動機でふたつの新連載に取り組んでいます。ふってわいた原発脳ではないよ、『ディエンビエンフー』忘れてないし考えてるよ。そんな気分なのです。
ネームは10巻の4話目まで進んでいます。あいつもこいつも死にまくっているんで、親愛なる読者のみなさまそこんとこよろしくー!
(西島大介)
プー!
もはやここがせかまほのためのBLOGなのか、何でもありなのかよくわからなくなってきましたが、こんにちは。西島です。
『I Care Because You Do』の装丁を担当してくれた戸塚さんが不思議な商品(?)をリリースしました。その名も「10年メモ」。戸塚氏いわく『I Care Because You Do』連載時の欄外の続きだそうで、やや謎かけめいていますが、読者の皆さんチェックしてみてください。詳細は下記。
(ところで単行本『I Care Because You Do』には装丁のクレジットがないのですが、これは痛恨のミスですね。くやしいー。マンガの単行本の場合、こういうことは「ないわけでもない」らしいですが)
プー!西島です。
DJまほうつかいロングインタビュー(これは『I Care Because You Do』に通じる西島の音楽論でもあります)でもお世話になったOTOTOYによる日本復興コンピレーション・アルバム『Play for Japan 2012』がリリースされました。
http://ototoy.jp/feature/index.php/2012031101
『vol.8』のジャケットイラストと、DJまほうつかいとして『vol.11』に楽曲提供しています。
『Play for Japan 2012 vol.8』ジャケットイラストは現在「モーニングツー」に連載中の『すべてがちょっとずつ優しい世界』に通じる世界。作品から森のおばけ&音楽家が登場しています。
『Play for Japan 2012 vol.11』に提供した曲は「All those moments will be lost in time」。DJまほうつかい×suzukiiiiiiiiii × youpy × 柿本論理(mochilon) × 伊藤拓史による昨年12月7日京都メトロ「SOUNDROOM KYOTO」での演奏です。
I've seen things you people wouldn't believe.
Attack ships on fire off the shoulder of Orion.
I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhauser gate.
All those moments will be lost in time, like tears in rain.
Time to die.
おれはお前ら人間には信じられないものを見てきた
オリオン腕で燃え尽きた戦闘艦
タンホイザーゲートの暗黒できらめくCビーム
そんなものすべてが時の彼方に消える
雨の中の涙のように
死ぬ時が来た
これは映画『ブレードランナー』で逃亡者たるレプリカントの最後の一体が死ぬその直前につぶやいた言葉。僕はこの映画が好きで、この印象深い台詞から曲を作りました。「All those moments will be lost in time」は西島が譜面で作曲した初めての曲で作ったのはたぶん2009年。震災と無関係に作った曲ですが、今回のコンピレーションにふさわしいと考え、京都でのライブ演奏版を収録しました。
被災地支援で「Time to die.」はよくないかもしれないと一瞬思いましたが、僕は「All those moments will be lost in time, like tears in rain. 」という台詞を聞くとき、儚さや無常感と同時にポジティブな響きも感じます。
レプリカントという人造人間は地球外の惑星で奴隷のように酷使され、そこで果てていきます。しかし映画に登場しラストシーンまで生き残るレプリカントは、少なくとも地球まで密航して街の中で息をひそめ、絶望的状況の中で人生の意味を見出すべく、ぎりぎりまで頑張った。あがいてじたばたした末に、「All those moments will be lost in time, like tears in rain. 」という境地に達したんだろうなと、僕は考えています。映画の切ないラストシーンを思うとき、このサバイブ感というか悪あがき、がんばりを忘れない方がいいんじゃないかと僕はつい先日思い出しました。レプリカント、気合い入ってますね、本当に。
そんなわけで僕は、「Time to die.」とは「やるだけやったよ、ははは」くらいな意訳がふさわしいのかなと最近思っています。本業たるマンガだとチャリティー企画にについて考え抜いた末に、結局断るパターンが多いのですが、DJまほうつかいだと素直に参加できて不思議です。以上、長めのセルフライナーノートでした。
Time to die.
プー。西島です。
311から一年。西島はその時吉祥寺に住んでいたんですけど、原発事故を受けて一か月の疎開の後、一度東京に戻り引っ越し。2011年4月末から広島県広島市に移住して生活しています。福島の事故を経て被曝の街広島へ移住というのも不思議な気持ちがします。(爆心地から4㎞くらいの場所に住んでます)
95年を舞台にした最新刊『I Care Because You Do』は、簡単にまとめると95年オウム真理教による地下鉄テロが起こっても、世の中の出来事よりも「自分たちの大好きなもの」(エヴァ、エイフェックス・ツイン、X JAPAN)に夢中だった高校生たちの青春の物語です。
サリンで何人が亡くなったと聞いても、「しょーこーしょーこー」と平気で笑い飛ばしてた感じ。エヴァの最終回や小沢健二のほうが、社会を揺るがす出来事より遥かに大事だいう感覚。『I Care Because You Do』の雑誌掲載の最終回を渡したのは震災5日目の3月15日。原稿を担当さんに渡した次の日、家族を連れて東京を離れました。
『I Care Because You Do』の主人公たち(それは『凹村戦争』と言い換えることもできます)の行動と、作者である僕の行動は正反対に見えるかもしれません。移住してから半年後に描き始めた連載『すべてがちょっとずつ優しい世界』や、2012年になって始めた『Young,Alive,in Love』のほうが、現在の僕の心境がわかりやすく表れています。遠い東京を思うと、寂しいような、ほっとするような不思議な気持ちになります。
『I Care Because You Do』の単行本作業は広島移住後に始めました。本来なら2011年には出したかったのですが、結果的に2012年にずれこみました。単行本化するに当たり、大きな直しはなかったものの、なんとなく311前の価値観を311後の頭で直しているような気分でした。それは装丁に表れています。
絵のない、ただ真っ白な装丁。これはかなり冒険的です。カバーを取った表4にだけ、i Padで指描きした解像度の荒い絵が印刷されています。実はこれは、連載誌「モーニングツー」の呼びかけをきっかけに描いた絵。震災応援イラストをという呼びかけでしたが、僕なりに考えた末に「がんばれ!」とは描けず(僕はいつでも考えすぎますね)求められた内容とも違うということで、講談社の企画サイトにはアップせず自前のタンブラーからリンクするというちょっとめんどうな手続きを踏んで発表しました。
移住して半年間、雑誌連載を終えて、ほとんど仕事をできなかった時期、唯一発表した仕事らしいものがこの一枚の絵というわけです。(↓)
『I Care Because You Do』の中でたぶんここだけ、95年と2011年3月11日が交錯している気がします。もちろんこれは作者の個人的な感慨なので、親愛なる読者のみなさまは自由に好きに楽しく読んでいただければそれで全然オッケーです。というわけで、以上、311のあいさつに代えて一日早く『I Care Because You Do』裏話でした。西島の本はいつも高いけど、見合う内容と信じています。ではー!
プー!
西島です。リツイ鬼と称してツイッターで『I Care Because You Do』の感想をRTしていたら、「ぽわぽわP」という不思議な名前の方によるとても熱い感想を発見。「これは僕の話だ!」と。それがぽわぽわPこと椎名もたさんでした。Pというのは初音ミクのプロデューサー、音楽制作者という意味です。
http://twitter.com/#!/hiramekimanga
DMのやり取りから、ニコニコ動画に発表する新曲のイラストを担当することに。こんな感じで軽い動画になって公開されています。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17112906
『I Care Because You Do』を読んでくれたとのことで、若くても二十代後半かなと思ったら、もたさん非常にお若い方でした。このインタビュー参照。アツいです。
http://www.cinra.net/interview/2012/03/01/000000.php
GINGAというレーベルはミクのエレクトロニカを模索しているような変り種で、母体はワンダーグラウンドって七尾旅人のセカンド出したレーベルですね。エンジニアROVO益子樹氏は、同じく西島がジャケを手掛けているdetune.『オワルゼンド』と同じだし、そいういえばDJまほうつかいのREMIXが収録された蓮沼執太さんの『CCOO』の「Metaltronica remix」も益子氏だったような・・・・。おっと話がそれすぎました。
椎名もたさんのアルバム『夢のまにまに』、西島の新刊と一緒にぜひどうぞ!
悪魔の血を引く魔法使いの少女。
人間の少年。科学が使えるが、落ちこぼれ。
ムギの飼い猫。
1000年前、アンのライバルだった魔法使い。
1000年前、アンの友達だった魔法使い。
1000年前、アンにふられた魔法使いの王子。
禁じられた複製の魔法。
影の代償として生まれる怪物。