2008.06.16
第8巻『アフリカの日々/やし酒飲み』
本全集もなんとか1/4、第1集の半分が刊行になりました。今月の配本は、アフリカが舞台の名作2編を収録した第8巻です。「アフリカの日々」はヨーロッパ生まれの著者、「やし酒飲み」はナイジェリア生まれの著者ということで、そのあたりの視点の違いも読みどころのひとつだと思います。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://mag.kawade.co.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/313
« 第7巻『ハワーズ・エンド』発売! | メイン | 京都精華大学で特別公開講座開催 »
本全集もなんとか1/4、第1集の半分が刊行になりました。今月の配本は、アフリカが舞台の名作2編を収録した第8巻です。「アフリカの日々」はヨーロッパ生まれの著者、「やし酒飲み」はナイジェリア生まれの著者ということで、そのあたりの視点の違いも読みどころのひとつだと思います。
このエントリーのトラックバックURL:
http://mag.kawade.co.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/313
人が一人では生きていけないように、文学は一冊では成立しない。
一冊の本の背後にはたくさんの本がある。本を読むというのは、実はそれまでに読んだ本を思い出す行為だ。新鮮でいて懐かしい。
そのために、「文学全集」と呼ばれる教養のシステムがかつてあった。それをもう一度作ろうとぼくは考えた。
三か月で消えるベストセラーではなく、心の中に十年二十年残る読書体験。
その一方で、それは明日につながる世界文学の見本市、作家を目指す若い人々のための支援キットでなければならない。敢えて古典を外し、もっぱら二十世紀後半から名作を選んだのはそのためだ。
世界はこんなに広いし、人間の思いはこんなに遠くまで飛翔する。
それを体験してほしい。
ケルアック「路上」の新訳から始まる、と聞いただけで、この全集自体の持つ旅感に胸が踊る。リストを見て、おお、おお、と、九回も声をあげた。これらの名作たちが、かつて、かの「海外小説選」を刊行した河出書房新社と、池澤夏樹という、風変わりな天然石のような文学者によって、一冊ずつ丁寧に編まれ、新しく書物として本屋さんにならぶ、と思うとただもう嬉しい。「新鮮な」文学全集というものを、ひさしく見たことがなかったからだ。
誰もが一応文句のない作品を並べた無難な全集ではなく、一個人の愛情と情熱と偏見とに貫かれた、編者の顔が見える世界文学全集。そりゃあ、ろくでもない一個人の愛情や偏見では困るが、池澤夏樹のそれなら歓迎である。20世紀後半の作品を中心にしたセレクションは、これまでに出されたどの世界文学全集とも違っていて、新しい。もちろん新しさ自体はかならずしも価値ではないが、この新しさは確実に価値である。